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MOVEMENT

洋画(日本近代洋画)

Yōga (Western-style Painting)
1870s– 日本 収録作家 97人

横浜の外国人居留地に、チャールズ・ワーグマンというイギリス人の風刺画家がいた。彼のもとに学んだ日本人たちが、油絵の具の扱い方や陰影のつけ方を学び取ったところから、この国の洋画は静かに始まる。それまでの日本の絵画には、西洋的な意味での遠近法も、光と影による立体感も存在しなかった。墨と岩絵具の世界に、油彩というまったく異質な画材と、ものの見え方そのものが持ち込まれたのである。イタリア人彫刻家ヴィンチェンツォ・ラグーザが招かれて工部美術学校で教えたことも、この動きに拍車をかけた。

洋画という呼び名自体が興味深い。日本画に対する概念として生まれたこの言葉は、油彩技法そのものを指すと同時に、西洋の物の見方を輸入するという明治政府の近代化政策とも重なっていた。久米桂一郎のように、フランスに渡って本場の画法を学び、帰国後は教育者として後進を導いた画家がいる一方、中村不折や三宅克己のように、独学と模索を重ねながら日本の風土に油絵をなじませようとした画家もいた。ラグーザに学び、後に夫について渡欧したラグーザ玉のような存在も、この時代の国際的な人の往来を物語っている。

地方に目を向けると、七星画壇のように画家たちが集まって研鑽しあう場も各地に生まれ、丸山晩霞のような水彩画家が自然主義的な風景表現を切り拓いた。中丸精十郎の肖像画には、写実を通じて人物の内面に迫ろうとする明治的な誠実さが見える。中村彝は肺を病みながらも、人間の存在そのものを見つめるような重厚な油彩を残し、洋画がたんなる技法の輸入にとどまらず、個人の内面表現へと深まっていく過程を示した。

大正から昭和にかけては、三岸好太郎と三岸節子という夫婦の画家が、それぞれ独自の造形を追求し、洋画はすでに輸入品ではなく日本の作家自身の言葉になっていた。今日、これらの作品を見るときは、単なる西洋模倣として片付けず、異なる価値観をどう自分のものにしていったか、その格闘の跡をたどってほしい。

この運動の作家

浅井忠
1856–1907
小山正太郎
1857–1916
梅原龍三郎
1888–1986
安井曾太郎
1888–1955
安井曾太郎
1888–1955
中村不折
1866–1943
久米桂一郎
1866–1934
五姓田義松
1855–1915
五姓田義松
1855–1915
五姓田芳柳
1827–1892
和田英作
1874–1959
坂本繁二郎
1882–1969
坂本繁二郎
1882–1969
三岸好太郎
1903–1934
司馬江漢
1747–1818
佐伯祐三
1898–1928
李仲燮
1916–1956
三宅克己
1874–1954
大下藤次郎
1870–1911
川村清雄
1852–1934
三岸節子
1905–1999
平賀源内
1728–1779
村山槐多
1896–1919
中村彝
1887–1924
丸山晩霞
1867–1942
五百城文哉
1863–1906
北野恒富
1880–1947
和田三造
1883–1967
赤松麟作
1878–1953
丸山晩霞
1867–1942
北野恒富
1880–1947
国沢新九郎
1848–1877
守住勇魚
1854–1927
渡辺文三郎
1853–1936
国沢新九郎
1848–1877
陳澄波
1895–1947
中丸精十郎
1840–1895
児島虎次郎
1881–1929
劉海粟
1896–1994
児島虎次郎
1881–1929
渡辺幽香
1857–1942
青山熊治
1886–1932
中丸精十郎
1840–1895
森田恒友
1881–1933
高橋大輔
1980–
牧野克次
1864–1942
ラグーザ, ヴィンチェンツォ
1841–1927
ラグーザ玉
1861–1939
ワーグマン, チャールズ
1832–1891
七星画壇
今津景
1980–
北城貴子
1975–
北蓮蔵
1876–1949
塩月桃甫
1886–1954
大庭大介
1981–
太平洋美術会
1902–
安宅安五郎
1883–1960
安藤仲太郎
1861–1912
富田温一郎
1887–1954
今津景
1980–

いま見られる展覧会

会期終了まで
32
開催中西洋と日本、同時代を生きた画家たち
北海道立釧路芸術館(〒085-0017 北海道釧路市幸町4-1-5) ・ 2026.07.11 – 2026.09.13
会期終了まで
49
開催中2026年度 II 「言葉を観る、美術を読む」
徳島県立近代美術館(〒770-8070 徳島県徳島市八万町向寺山 文化の森総合公園内) ・ 2026.07.11 – 2026.09.30
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この解説は ArtNote 編集部が執筆しています。 誤りを報告する